1: ミックスボイス
ミックスボイスは我々ボイストレーナーが生徒の側から「どうすれば出せるようになりますか?!」と最も質問を受ける『歌唱方法』です。
『歌唱方法』と記しましたが、ミックスボイスは『発声方法』ではなく『歌唱方法』という定義付けになります。
理由としてはSession8で各声区を説明させて頂きましたが、あの中にミックスボイスは分類出来ないからです。
声区の話はボイストレーニング業界の一般論として書きましたが、まだミックスボイスの定義は歌唱方法という程度で曖昧なものなのです。
また、男性しか主に使わない歌唱方法という点もミックスボイスの特徴です。
このミックスボイスで歌っている歌手はたくさんいらっしゃいます。
例えばEXILE ATSUSHIさんや平井堅さんがとてもイメージし易い所です。
実際にどうやってミックスボイスが発声出来るようになるのかを以下に記載します。
手順
1:C4ぐらいの音で「A(ア)」のロングトーンを正しい発声方法でまず行う。
2:次に腹式呼吸ではなく胸式呼吸を3割程度混ぜる感覚で声を息っぽくする。
3:C4で上記が出来るようになったら表声の限界音で1と2の手順を実行。
4:上記3が出来るようになると表声からファルセットに移行する際も喚声点(声の切り替わる音のライン)が分からないようなミックスボイスの歌唱方法が徐々に身に付きます。
つまりEXILE ATSUSHIさんや平井堅さんのような歌唱法に近い喉を作り上げることが出来るようになるということです。
2: ウィスパーボイス
ウィスパーボイスを日本語に直訳すると『ささやくような声』です。
ミックスボイスも捉えようによってはささやいているような声に取れますが、ウィスパーボイスは低い音域…、例えば楽曲でいう所の、Aメロなどの盛り上がりの少ない部分で使われることが多いです。
役者さんでも渡部篤郎さんのようにウィスパーボイスを特徴としてキャラを立ててお仕事をされている方もいらっしゃいます。
音楽では玉置浩二さんは声に輪郭も抜けもありますが、ささやくように歌う部分もあると考えるとウィスパーボイスで歌っている箇所もあります。
ウィスパーボイスもミックスボイス同様に歌唱方法の一種ということになります。
ウィスパーボイスは低い音域で使用します。
男性でも女性でも使用します。
比較的表現力の豊かな人が使用している傾向が強いです。
練習方法は特にありません。
「ささやくように」低い音域を歌えばそれでウィスパーボイスの歌唱は完成です。
腹式呼吸もあまり関係ありません。
胸式呼吸でも問題ありません。
ささやくことに意識を高めて発声すれば大丈夫です。
なぜボイストレーニング上あまりテクニックが必要無いウィスパーボイスについて敢えて記述したかと言うと、
生徒側がウィスパーボイスが何であるかを理解していないと、ボイストレーナーが発声技術を教えていく上で生徒側と噛み合わなくなる恐れがあるからです。
ウィスパーボイスって何だろう?ミックスボイスって何だろう?声区とはどう違うのか?
そのような点を生徒側とボイストレーナー側で認識の相違を無くし、正しく理解した上でボイストレーニングに臨むことで、レッスンは思いの外スムーズに進められるはずです。

第4版 Ver.2017.07.10 変更点
・全体的な文章校正
・言葉使い、言語の統一(ひらがな、全角半角の統一含む)
・日本ボイストレーナー連盟の各ページのロゴを省略
・Session1 P.8の上半身図の「腹横筋」の追記。その他文章修正
・Session3とSession8の声帯図の向きの統一
・Session4の「I(イ)」の図の解説文
・Session9【ミックスボイス・ウィスパーボイス】Session追加
・Session10 マイナースケールの半音の灰色ライン部分の修正
・Session12 ソルフェージュの譜面の差し替え
・Session14 図に「腹横筋」文字の追記
・Session15 ビブラートの図。舌の絵の修正、動きの詳細文の省略
・Session20 生理食塩水の分量の記述を省略。
第3版 Ver.2015.12.01 変更点
・文章表現の見直し及び、誤字・脱字などの修正
・Session12を【リズム】から【ボイスポジション】に変更
・生理食塩水については、医療的立場では責任を全う出来ないという当連盟の考えから当該項目の件を全文削除致します
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