Session2【腹式呼吸の練習方法】

目次

1:腹式呼吸の練習姿勢~ボイストレーニングの練習姿勢~

「直立している状態で腹式呼吸を行う場合の姿勢」というより、もっと基本的な「ボイストレーニングの発声姿勢」とはどういうものであるかを解説します。

まず足を肩幅に開きます。
この時足のつま先が左右対称になるようにして下さい。

次に全身の力を抜いて下さい。
完全に力を抜くと、背筋は張らない状態でダラッとするはずです。
「このような状態で発声が出来るのだろうか?」と疑問に思われるかもしれませんが、勿論出来ません。
ですので、次に以下のことを行います。

「つむじ」を天井に向かって吊り上げられるようなイメージで、頭を起こしていきます。
すると力が抜け、背中がしっかり伸びて胸部も若干張った状態になります。
これが発声練習の際の基本姿勢になります。

「歌を歌う時もこの姿勢でなければならないのか?」という疑問があるかもしれませんが、歌を歌う場合は色々な動作による色々な表現、つまりアクション及びパフォーマンスを起こすものです。

しかし、このように力を抜いた状態で発声することを知っているのと知らないのとでは、歌っている時にアクションを起こして動き回る場合でも、「力の抜き加減はどのようにすれば良いのか」の理解が違ってきます。
歌は「どれだけ力が抜けるか」で、その人の技術が試されます。
力が入ればリズムも落ち着かないし、ピッチ(音程)も落ち着きません。

※生徒にレッスンを執り行う場合「力を抜けば良いのである」とだけ教えると、勘違いをさせてしまう可能性があるので、説明には十分注意が必要です。
レッスン初期段階でも、将来的な完成形がどのようなものになるのか、先に教えることも大事です。

2:ドッグブレスの練習方法

ここで、腹筋の「ON」と「OFF」について解説致します。
「ON」とは…お腹に力を入れている状態を指します。
「OFF」とは…お腹の力を完全に抜いている状態を指します。
「ON」と「OFF」は、歌唱での抑揚に深く関連してくるため非常に大切です。

さて、ドッグブレスはこの「ON」「OFF」を使って練習をしていきます。
腹式呼吸を使って息を吐いたり吸ったりする運動を、スタッカートで行うことをドッグブレスと言います。
「ハッハッハッハッ…」と、まるで走り込んだ後の犬のような状態で素早く呼吸を繰り返すのでドッグブレスという名称が付いています。
息を吸って吐く一連の動作を1サイクルとして、これを1秒弱の間に行います。
このサイクルを30秒ほど継続して練習して下さい。

Session1で解説したお腹の動きは出来ていますか?
腹式呼吸は相当難しいので、慣れるまで時間がかかると思います。
Session1の「腹式呼吸のメカニズム」に書いた最後の注意点、「普段のお腹の形状まで戻すこと」がしっかり守られているかどうか確認しながら行って下さい。

ドッグブレスは「アタック」の練習でもあります。
このアタックとは歌だけに使用する用語ではなく、楽器全般的に使用される用語です。
音の立ち上がりを表現するものです。
「アタックが良いね」などと言ったりしますが、鋭い輪郭のある音の出る瞬間を指します。

ドッグブレスを行う時の身体の状態をもっと具体的に説明します。
口は半開きの状態にして下さい。
例えると、喫茶店や電車の中などで居眠りをしている人のような半開き加減で、上の歯と下の歯の間は、人差し指が1本入るか入らないかくらいの開き具合となります。

息は鋭く出さなければいけません。
例えば、自分の手のひらを口の前に持って来て確認して下さい。
生ぬるい温度の空気が出ていて、空気が出て来るのを感じない状態でドッグブレスを行っていては失敗です。
仮に1メートル離れていても、息に“芯”を感じるような空気を吐いて下さい。
※口は半開きの状態を維持したまま行うことをお忘れなくお願い致します。

何よりも全身の力みを取りながら練習に励む必要があります。

3:ロングブレスの練習方法

ロングブレスは長く息を吐き続ける練習です。

―ロングブレスの注意点―
* 安定したブレない息を吐き続けることが出来るかどうか。
* きれいな音が出ているかどうか(歯と歯の間から漏れる「スー」という音です)。
* 45秒以上出来ている(つまり吐き続けられる)かどうか。

上記3点が重要になります。

声は息が土台になりますので、ロングブレスを行う目的は主に声の安定感なのですが、高い声の張りの維持にもロングブレスは役立ちます。
従って、生徒にとってロングブレスの練習は必要不可欠です。
発声の基本は息です。

4:足上げ腹筋運動

足上げ腹筋運動は腰に負担が掛かるので、腰の具合が悪い人は行わないで頂きたいという考えから当連盟では推奨は致しません。
ですがメジャーなトレーニング内容でもあるので、方法に関して記述致します。

-手順-

1. 仰向けになって柔らかい布団やマットを敷いて横になります。
2. 顎を20度ほど上向きにします。
3. 全身の力を抜いて下さい。
4. 手を横に置きます。
5. 左右の膝をくっつけて下さい。
6. 20度ぐらいの高さまで足を上げます。
(お尻から下の足をまっすぐに、膝をあまり曲げないで上げて下さい)
7. 床に着くまでゆっくり下ろします。
(下ろしきったら力を完全に抜いてまたお腹の力を「OFF」にします)

1セット15回として、これを3セット行って下さい。

以上です。
腹筋を鍛えるには有効なトレーニングですが、腰に負担が掛かりますので注意して下さい。
足上げ腹筋運動は腹式呼吸に使う腹筋を鍛えるために行う練習なのですが、腹式呼吸自体は腹筋をそれほど必要としておりません。
日常生活に必要な筋肉があれば十分出来ますが、プロのボーカリストなどの場合に2時間3時間といったステージが何日も続く場合は『基礎体力』として筋肉を腹部に付けることが必要となることもあります。
腹筋を必要とする場合は、スポーツジムなどでパーソナルトレーナーと相談しつつ鍛えた方が良いでしょう。

ただし、足上げ腹筋運動のように仰向けに床に寝そべり、腹横筋がOFFの状態を理解することと、足を上げた際にONになる状態を知ることに関しては重要です。
この点については当連盟でも推奨致しております。

―補足―

腰が悪い人は寝転んで足をこぶし1つ分上げるだけでも腹横筋の動きが分かります。
しかし、無理は禁物です。

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