Session13【抑揚】

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1:声の抑揚の出し方~腹筋の使用法~

抑揚をつかさどる腹筋は横の筋肉です、これを腹横筋と言います(下図⑤参照)。

抑揚をつかさどる腹筋

図⑤、臍の左右の黒く塗り潰した部位を見て下さい。
ここが抑揚をつける筋肉部分(腹横筋)です。
腹式呼吸のSession1 でも解説しましたが、下腹部と横腹の筋肉(腹横筋)は息を吐いたり、声を出す時に連動します。
下腹部は凹み、横腹は横に押し出て、双方共に筋肉が連動して動く状態になります。
そして息を吸う時は“OFF”の状態になり、柔らかくなるのです。
Session2 で解説した、ON とOFF を参照すると解り易いと考えます。

横腹の筋肉が押し出る=声に張りが出る・大きな声になる
横腹の筋肉が柔らかい=声に張りが無い・小さな声になる

と、考えて下さい。

基本的に抑揚をつけることと、息の量とはあまり関係がないです。
息の量ではなく、共鳴や声の抜けができていることが大前提にあって、腹横筋を上手に使いこなすことが重要。
それによって力ずくではない、ボーカリストとしてしっかりした理論的な抑揚が完成します。

しかし、抑揚は理屈では説明できますが、歌の中でどのように抑揚をつけるか、それは個人個人のセンスであるとも言えます。
すなわちそれが、ボーカリストの個性の一つであると言える部分です。

2:5度とオクターブの発声

抑揚の練習には、3~5度離れた音を使って練習することが効果的です。
『抑揚の練習=腹横筋を動かす練習』です。

例えば、5度の練習であれば、ドソドソド♪…ドソドソド♪…
と、腹横筋を抑えながら繰り返してみて下さい(前の下腹部を一緒に抑えると良いです)。
もし動かない場合、それは抑揚を付ける腹横筋が機能していないと言えます。
腹横筋が激しく押し出たり、弛緩していれば抑揚が少なからず『ある』と判断して良いです。

腹横筋を動かす為には、足上げ腹筋運動が最初のうちは効果的と考えます。(Session2【腹式呼吸の練習方法】4:足上げ腹筋運動を参照)
腹横筋が動くことで抑揚が生まれますが、腹横筋を動かすことができるようになるまでの練習方法は、足上げ腹筋運動だけです。
足上げ腹筋運動で足を挙げている時に腹横筋が張ります。
逆に、足を床に付けている時は腹横筋は弛緩します。

しかし、寝そべって声を出すことは現実的ではありません。
従って、できれば足上げ腹筋運動などせず、直立した状態で腹横筋を動かす練習をするべきです。

腹横筋は人によっては力みが強い場合、腹部筋肉が全体的に固まって硬くなっていて動かすことが難しいでしょう。
例えるなら鉄棒の逆上がりができない小学生がクラスに数名いるものですが、そういう子がある日突然逆上がりができるようになることがあります。
それはなぜかと言いますと、「身体的ひらめき」と「反復練習」です。
個人のひらめきと反復練習が唯一の方法であり、何度も腹横筋を手で押さえながら練習するしかありません。

3:グリスアップとグリスダウンの練習

腹横筋を自在にコントロールするための練習方法として、グリスアップグリスダウンの練習があります。

これ以上出ないという低音から、これ以上出ないというファルセットの高音まで母音『A』の声で、スラーで一息で発声します。
声がトップまで達しても声を止めないで、そのまま今度は限界まで低い音まで発声しきります。
息はなるべく使わず、余裕を残して終わりましょう。

グリスアップとグリスダウンの練習が失敗する人は、おそらく初めから腹横筋が最大限カチカチに力んでいる状態かと考えられます。
要するに、全身に力が入り過ぎている状態です。

力を上手に抜くこと、これが抑揚を付ける練習のポイントです。

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