Session16【ボーカルトレーニング】

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あなたがボイストレーナーであるならば、生徒に課題曲を沢山用意させる必要はありません。

  1. ボイストレーニングでの発声が歌に活きているかどうかを確認するため
  2. 曲を歌うのではなく、詞のイントネーションを理解し歌うことを理解して貰うため
  3. 生徒が自分本来の声質で歌えているかを確認するため
  4. 歌唱の中でもピッチやリズムが安定しているかを確認するため

などの4 項目は重要です。
他にも、実際に“ボーカルトレーニング”を行えば色々と調整することに気づく部分が出てくるものです。
ボーカリストは、個々によってボイストレーニングのメニューが異なるのです。
しかし、大きく分けて上記の4項目はどのボイストレーナーも生徒に確認する必要があります。
1から順番に解説して行きたいと思います。

1:ボイストレーニングでの発声が歌に活きているかどうかを確認

例えばボイストレーニングを行った結果、抜けのある声が出る様になり、ピッチが良くなり、リズムも良くなったとしても、それらが実際に歌を歌い、そのまま表現できるのかと言うと、最初は生徒にとって難しいことが普通です。
やはり、歌っている時の身体の使い方の癖は、ボイストレーニングで技術を高めても中々拭えません。

ボイストレーニングのレッスン中では、技術は100 点満点中、100 点でなければなりません。
要するに、【レッスンの場では】生徒は完璧にできなければいけないということです。
なぜならば、実際に歌を歌った場合7 割ぐらいしかトレーニング成果が活きないからです。
7 割ですから、ボイストレーニングで満点でも実践では7 割活かせるかどうかです。

7 割が悪いことなのかというと、そうではありません。
それで良いのです、そういうものです。
歌っている最中に、トレーニング技術を考えながら歌っていては良い歌は歌えません(余程体調が悪い場合などに考えながら歌うべきです)。
ボイストレーニングのノウハウを意識し過ぎて、感情を表現するということを忘れてしまうようではいけません。
周知の通り、歌には『感性』も必要なのです。

生徒に7割のボイストレーニング成果を歌に出してあげるために、ボーカルトレーニングをレッスンで
行う必要性は大いにあります。
ボーカルトレーニングはレッスンの段階を問わず必要不可欠と考えるのが当連盟の方針です。

2:曲を歌うのではなく詞を読むことを理解する

歌詞を読む・歌詞のイントネーションを理解するということは、非常に重要です。
時代に名を残した優れた作品たち。
これらは曲のメロディーの流れと詞のイントネーションの流れが一緒です…つまり「いとしのエリー」でしたら、冒頭の…

【歌詞】なかしたこともあるつめたくしてもなお
【譜面】ミファソソソラソファミミファソソソラシラソ

と、なる様に歌詞を読んだ日本語のイントネーションと、譜面のイントネーションの流れが一致しています。
標準的な日本語を話す場合の音の上がり下がりがそのまま曲に反映されている状態になると、説得力が増し、人の心を打つ作品となったと考えます。
実際に作詞家業界では、音符の流れとイントネーションを重んじて作詞を行うことが一般的ですが、後世に残らない作品というのは、この法則に従っていないケースが(多いことが)事実です。
歌詞と譜面・イントネーションの関係を知って歌を歌うのと、そうでないのとでは大きな差が生まれます。

過去の優れた楽曲…
「いとしのエリー」(サザンオールスターズ)
「瞳をとじて」(平井堅)
「I LOVE YOU」(尾崎豊)
「オリビアを聴きながら」(尾崎亜美) …………などなど、例は枚挙に暇がありません。

また、邦楽ですと日本語の歌詞なのでイントネーションが日本人には理解できますが、洋楽だと難しい場合もあります。
外国のシンガーが日本語の曲を歌った時におかしく聴こえてしまうように、英語の発音が流暢ではない日本のシンガーが英語で歌っても、英語圏の人間からすれば違和感を感じてしまいます。
言葉の壁というのは、なかなか崩すことが難しいという事実も理解する必要があります。

3:自分にとってもっとも自然な声質であるかを確認

声質はとても重要です。
ボイストレーニングを行う上でもっとも重要なことは、ボイストレーナーがその人の声質を変えないことです(つまり喋っている声と歌っている声を同じにする)。

なぜ変えてはならないのか…それにはもちろん理由があります。
20 年、30 年と長く歌手生活をしているアーティストの方々の声を聴いてみて下さい。
喋っている声も歌っている声も、ほぼ一緒の質感です。
サザンオールスターズの桑田佳祐、徳永英明、玉置浩二、久保田利伸、吉田美和、森山良子…など挙げればきりがないのですが、全員喋り声と歌声の質感が変わっていません。

アーティストが長く続くということは、リスナーの気持ちを掴んでいるということですが、本Sessionの2 項で前述している通り、メロディーに歌詞が乗るから説得力がリスナーに対して増すのです。

ボイストレーニングを行う上での注意点でもありますが、ボーカリストの喋り声の質感を壊すようなボイストレーニングを執り行ってはいけません。

生徒には、歌っている声質を喋っている時となるべく相違無い様に歌って貰う必要があります。
良い歌というものが、どういう理屈で成り立っているかは、歴史の中の名曲やボーカリストが証明しています。
生徒本来の自然な声で歌わせてあげないとボーカリストとしての良さを失ってしまいかねません。

4:歌唱の中でもピッチやリズムが安定しているかを確認

ピッチやリズムの練習をボイストレーニングで行っても、歌になると崩れてしまう生徒がいます。
それは歌で表現しなくてはならない!という衝動や癖に駆られてしまって本人が冷静でなくなってしまうからです。
あくまでもステージではなく、練習段階で歌を歌う上ではある程度冷静であることが必要です。
レッスンやリハーサル段階でしっかり気にして100 点満点を叩き出し、ライブでは70 点活かすことを目標にするということが当連盟における方針です。

5:歌ではなく『話し方』も同じか?

全く同様です。
話し方こそ不自然なトーンでは、相手に距離感を抱かせてしまいます。
声質を崩さない生徒の『人となり』が一番出せるような声質を探して教えて行くことが、ボイストレーナーの役割となります。

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