ファルセットの需要について

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こんにちは。
一般社団法人日本ボイストレーナー連盟スタッフです。
本日は日本の音楽において、ファルセット(裏声)の需要についてお話ししたいと思います。

この場合の需要=トレンド、流行、そのような言葉とお考え下さい。

ファルセットはいつから需要が高まったのか?

ファルセットが現代のポップ、ロックシーン等において殊更今のように定着するようになったのは2000年にあたりを起点として変わっていると思われます。
※厳密なリサーチを行ったわけではございません。

大体の目安としてchemistryさんが登場したあたりからファルセットの需要の切り替わりが激しくなった印象です。
そこからファルセットと言うものが頻繁に音楽(ボーカル)の中に取り入れられるようになった、または取り入れられるような楽曲作りを求められるようになった印象を持ちます。
※もちろんファルセット自体はそれ以前から存在しています。

地声で出ないからファルセットで歌うのは”逃げ”?

時代背景としては上記よりも以前の話ですが、スタジオミュージシャンやスタッフの間での会話で「あのボーカルはすぐに高い声なるとファルセットに逃げる」と言うような若干フルセットに対してアンチのポジションを取る方もプロの中にはいたりもしました。

要するに地声で出せない音域を裏声でカバーすることで、作品をボーカル自身が逃げで成立させようとしている。
だめだ!プロとしてそれは逃げなんである!という、体育会系な考えとも言えるお話ですね。

上記のような現場環境であれば(昔の話ですが)ファルセットを歌の中に取り入れているアーティストは「ここはファルセットに切り替えるべき部分」、つまり作品を作る上でファルセットは重要なポジションなんだと、ファルセットに対し高い意識を持ち作品を作られていたのかなと思います。

例えば安全地帯の玉置浩二さんは、上記の発想でご本人が考えられていたかどうかは不明ですが、顕著に必要性を持ってファルセットが作品の中に登場している印象であり、ファルセットの使用についてはとても意図的かつ戦略的なものを感じます。

また、女性のボーカリストは当時はあまりファルセットで歌われていた方は少なかった印象を持っています。
統計を取ったわけではなくあくまで印象でのお話ではありますが、現在と比較すると当時はファルセットの需要が今よりも少なかったと感じます。

なぜ現在はファルセットの需要が高いのか?

話を現在に戻します。
現在は楽曲の主旋律、つまりボーカルパートの平均的な音階の流れが昔よりも高くなっています。
分かりやすい言い方ですとキーが高くなっていると言うことです。

これは歌い方のトレンドというのが時代によってあるからであり、現代においてはそのトレンドがファルセットもしくは、とりわけ高い声をイメージできる楽曲を戦略的に作って売り出していきたいというものであると考えられます。

例えばOfficial髭男dism、Aimer、King Gnu、などなど、男性アーティストにとりわけファルセットを取り入れている楽曲が多いのは間違いありません。

女性アーティストの場合はファルセットよりウィスパーボイス寄りの声の出し方をボーカルに取り入れている兆候が昔よりも比較的多いように思います。

時代、トレンドで変化する歌い方とボイストレーニングアプローチ

したがって、ボイストレーニングの内容にも着目してみますと、30年位前と現代とではボーカルに求められている内容が変わってきており、トレーニングの内容も変えていかなければならない部分も当然あります。

トレンドが変化している、需要が変化しているのであれば当然ボイストレーニングの内容も変化していかなければいけません。
しかし、トレンド部分を意識せずトレーニングをされるボイストレーナーは実は相当数いらっしゃるのではないかと思われます。

時代のニーズ(需要)を意識しながらボイストレーニングの内容を作る

実はこれはとても重要なことなのです。

なぜならば、例えば腹式呼吸があんまりうまくできない人(生徒側)がいたとしても、胸式呼吸寄りのウィスパーボイスに切り替え、トレンドに合うような腹式呼吸と胸式呼吸の合わせ技とでも言うようなレッスンをしていけば良い、と言う考え方もあっても良いわけです。
※ある意味これは”逃げ”の話かもしれませんが…。

以上、今回は「ファルセットの需要について」お話しさせていただきました。

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