音程がとれない人への指導について

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日本ボイストレーナー連盟の鈴木です。
勉強会にて、下記の質問を頂きましたので回答をさせて頂きます。

【質問】音程がとれない人への指導について

音程がとれない人への指導について教えていただきたいです。
今ボイストレーナーとしてレッスンなども行っているのですが、一人どうしても音程がとれない生徒さんがおり苦労をしております。レッスンの中でスケール発声練習をさせたり、録音をさせて聴かせたりもしているのですが、一向に改善しません。

音痴改善に効果的な指導方法は他に何かありましたらご教授いただけますでしょうか?

【回答】

こんにちは。
日本ボイストレーナー連盟 ボイストレーナーの鈴木と申します。

ご質問ありがとうございます。早速回答させていただきたいと思います。

スケール発声や録音での練習はとても良いことなので是非続けていただけたらと思います。

音が取れないという問題に関して、発声方法の問題の場合もありますが、伺う感じですと恐らく音程自体が認識できていないタイプの方だと思います。

この場合、まず大前提に、すぐの改善は難しいです。中長期的にトレーニングすることが必要です。それはレッスンする側も生徒さまの側も共通の認識でいるようにして下さい。

その認識がないと、「やっぱり治らないのかなぁ」と悲観的になってしまう場合があるからです。

そしてもう一つ、音痴は治ります。
但し練習する本人の強い意志も必要です。

どんなに素晴らしいボイストレーナーさんが効果的なレッスンを行っても、本人にその気持ちが弱ければ改善は難しいです。
ボイストレーナー側は、改善に導くレッスンを行うことと、本人のやる気持ちを引き出してあげるようサポートすることがとても大切です。

音痴改善のレッスン方法

音痴改善のレッスン方法を幾つかご紹介していきます。

①歌のメロディーを鍵盤で弾けるように指導する

レッスンスタジオにピアノがあれば、歌のメロディーを鍵盤で弾けるように指導する。

これはいわゆる耳コピです。耳で音を聴いて、その音を弾けるようにサポートして下さい。曲のキーが「C」の曲・・・白鍵のみを使う曲が良いです。

例えばスピッツさんの「チェリー」という曲。まずはAメロの1行だけを弾けるようにするなど、一部分ずつ行いましょう。

これを毎回10分程度で良いので、行って下さい。
もちろん最初は苦戦します。ピアノを弾ける方からするとじれったく感じることもあるでしょう。

でもピアノを弾けるようにするためのレッスンではありません。あくまでも音を認識して、その音を自分で捉えるための練習です。リズムが合ってなくても、ゆっくりでも構いません。音を探し出せればOKです。

実際に私の生徒はこの方法で、1ヶ月で相当音感が付いて歌の中でもあまり音を外さなくなりました。

②を家でも行うように指導する

①の方法を家でも行うように指導しましょう。ピアノが無い方はスマホの鍵盤アプリでも構いません。

一ヶ月のレッスン時間は限られています。そのためどれだけ個人練習に時間が費やせるか、ということが鍵になってきます。

レッスン以外の個人練習は必須です。

③スケール発声練習の際、音をしっかり聴かせる

スケール発声練習の際、音をしっかり聴かせるようにする。これが意外に出来ていないトレーナーさんが多いです。

スケール発声の時、鍵盤楽器の音をなんとなく聴いているという感じを良く見受けられます。
音が取れない方の場合は特に、スピーカーの近くでしっかり鍵盤の音を聴くなどして、一音ずつ音を聴きとった上で声を出してもらうようにしましょう。

また、片方の耳を手で塞ぎながら行うことは、内耳共鳴をより強く感じることができるためおすすめです。

これもレッスン以外での個人練習を推奨します。是非行っていただくよう指導して見て下さい。

ボイストレーナー連盟では現職のボイストレーナーに対してもレッスン指導や講習を行っております。是非お気軽にご相談下さい。

ボイストレーナー紹介制度について

ボイストレーニング勉強会へのご参加もお待ちしております。

一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
ボイストレーナー/鈴木 智大

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