裏声が出せない人が裏声を出せるようになる方法について

LINEで送る
Pocket

一般社団法人日本ボイストレーナー連盟です。
今回、『裏声が出せない男性』がいらっしゃるという事で、恐らくボイストレーナーの方からのご質問を頂きました。

結論から申し上げますと、どんな生徒さんでも裏声を出す事は「可能」です
今回は背の高い男性の生徒さんに対してどのように指導していけば裏声が出せるようになるのか回答していきます。

※ちなみにご質問の中であくびのことに触れられていますが、あくびは基本的に表声と裏声の中間(ミックスボイス)だと連盟では位置づけています。

裏声が出せない人が裏声を出せるようになる方法について

【質問】

ご質問内容
ハンドルネーム: ゆきちゃん
性別: 女
年齢: 42
ご質問タイトル: 裏声が出ない男性

ご質問内容:
高身長の男性の方で、地声、話し声もとても低い方のレッスンをしています。
高音が出るようになりたいとのことですが、全く裏声が出せません。
裏声を出す感覚が分からないそうです。
現在、鼻腔に響かせて地声で高音を出そうとしていますが限界があり、裏声を習得したいです。
ちなみに、あくび声も地声です。
今後どのようにレッスンしていけば良いでしょうか。

ご回答

背の高い人の場合、横隔膜と頭部との距離がかなり離れてしまうため腹式呼吸による腹圧を高めた発声が背が低い生徒さんに比べて難しくなってしまいます。
背の高いシンガーは世間的に見ても福山雅治さんや布袋寅泰さんなどがいらっしゃいますが、両者とも表声を高い声で張り上げる事は難しく、裏声(ファルセット)と言う部分で高い音階の箇所を補っているのが現実です。
高い音階をファルセットで補っているからといって、それはアーティストの個性と捉えるのであって決して技術が低いとか身体能力が劣っているとかと言うことではございません。
あくまでも表声で高い声が出しづらい体質にあると言うことであれば、それは個性として受け入れるべきものであると考えます。

まずこれらの前提条件を考慮した上でお話を進めてまいりましょう。

本来、背の高い男性の方がうまく裏声を出しやすい傾向にある

今回は背が高い男性の生徒さんで、ファルセットを出しやすくするためにはどうしたら良いか?
と言うご質問内容です。
ですので、この点に関して集中して回答して行きます。

背の高い生徒さんの場合は、腹式呼吸により腹圧を高めて発声をすることが難しいので、必然的に息の量が背が低い生徒さんに比べると多くなってしまいます。
しかし、ファルセットと言うのは息の量を多くして上咽頭に喉を開きつつ声を当てると発声できるものなので、逆にむしろ背が高い生徒さんの場合はファルセットは背が低い生徒さんに比べると比較的出しやすいはずです。

にもかかわらずファルセットが出しづらいと言う事は、何か原因があるはずです。

裏声をうまく出せない原因の考察

いくつか原因を考えてみます。

  • 舌が力んでいることにより口腔内が狭まっている。
  • 腹式呼吸が予想以上に足りていない。
  • いっきり大きな声を出したことがあまりないので、声の大きさの限界を知らない。
  • ボイスポジションで発声したことがないので上咽頭に声を当てたことがない。

上記のような原因は考えられないでしょうか。

大きな声を一度発声してみてもらうという方法

特によくありがちなのは大きな声を出したことがないと言うことです。
ボイストレーニングに通っていても限界まで大きな声を出してみてください、と言うレクチャーをレッスンの中でボイストレーナーさんが言う事はあまりありません。
極端に言えば「喉が壊れる位限界まで大きな声を一度出してみてください」位のディレクションをしても良いのかもしれません。
それで生徒さんが実際に大きな声を出そうとすると、「こんなに大きな声出したことがありません」と言う反応が返ってくる事は非常に多いのです。

ファルセットと言うのは、基本的に大きな声で発声しないとファルセットの出し方をつかむことができませんから、まず大きな声に慣れてもらうということが重要なのではないでしょうか。

ボイスポジションを使って共鳴の確認を行ってみる方法

もしくは、「ボイスポジション」を使っての共鳴の確認があまりできていないと言う事は無いでしょうか。
多くの生徒さんの場合は、C4からE4位の音を「あ」か「え」で発声したときにボイスポジションを捉えやすいです。
つまり共鳴している声を確認することができると言う事ですが、その逆で例えば「う」で発声してみてくださいと言うと全然声が共鳴しない生徒さんがほとんどです。
「あ」と「う」を比べてみると「あ」では声が響くのに「う」では声が響かないと言う違いを身体的に本人が気づくことができます。
共鳴できている母音とできていない母音を比べてみる。
つまりボイスポジションを色々と比べてみると、上咽頭で響かせるポイントと言うのを生徒さんご自身が理解しやすいと言うこともよくある話なので、いちど試してみてはいかがでしょうか

上記のようなポイントをそれぞれ試してみた結果、それでも改善が見られない場合はまたご質問いただければと思います。
その際にはどのようなことを試してみたのかと言うことも踏まえた上で回答させていただきたいので、具体的におっしゃっていただけると幸いです。

引き続き頑張ってみてください。
またご質問お待ちしております。

お気軽にご質問下さい、ご質問フォームはこちら

LINEで送る
Pocket