2013年9月度日本ボイストレーナー連盟資格認定の過去問題

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【基本的な知識問題】

以下の問題は2013年9月の資格試験にて実際に出題された問題です。
腹式呼吸に対する知識が必要とされる問題内容ですが、その他にも基礎的な問題が数問出題されます。

【問題】
腹式呼吸とは具体的にどのような呼吸のことを指すのか、胸式呼吸との相違点に言及しながら150字以内で答えよ。
解答において次の3つの用語を必ず用いること:胸郭、横隔膜、吸気
【解答】
胸郭を用いた呼吸に横隔膜の機能を付加した呼吸のことを指す。
吸気の際に横隔膜を大きく下げて胸郭を拡げることによって胸式呼吸よりも
吸気の量を増やすことができる点、ならびに、呼気の際に胸式呼吸では横隔膜を
自然にもとに戻すのに対し、横隔膜を下に張った状態を保つことによって呼気の量や
スピードを制御することができる点が特徴。
※解答のポイント

  • 身体に本来備わった呼吸における胸郭の機能を理解できているか。
  • 腹式呼吸とは胸式呼吸と基本的に同一の機能を持つものであり、横隔膜の機能を付加している点のみが異なるということに言及できているか。
  • 腹式呼吸において用いられる横隔膜の機能を正しく理解できているか。

【レッスンの対応力】

以下の問題も2013年9月の資格試験にて実際に出題された問題です。
実際に自身がボイストレーニングレッスンを行う際に、重要な知識に関する問題も幅広く出題されます。

【問題】
上半身(主に首、肩、胸など)の筋肉を適度に弛緩させ、脱力した状態を作るよう促すために有効だと考えられる指導法を2つ挙げよ。
【解答】
まず一つめの指導法として、壁などに後ろ半身をつけ、壁に体重を預けた状態で歌唱する方法を提案する。
上半身が力みがちな人の特徴として、頭部の位置が前ぎみになること、肩が内側(前側)に入りがちなこと、呼気の際に上半身(主に背中)が丸くなり、姿勢が前傾しがちなこと、手に力込めて(あるいは手を過剰に動かしながら)歌うことが挙げられる。これらの状態では重心のバランスが崩れ、身体コントロールが損なわれている状態であり、バランスを崩した箇所を支えるために歌唱に不必要な筋肉を緊張させることになる。
 そこで、上半身の各部位を骨盤の上に正しく乗せ、不必要な筋肉の稼働を防ぐために、壁に身体をつけ、体重を預けた状態で歌う方法を提案する。具体的には、後頭部、肩(あるいは肩甲骨)、お尻の3点を壁につけ、足下に体重を落とした状態で、少し壁に寄りかかりながら歌う方法である。この際、留意すべきは、後ろ半身全体をべったりと壁につけようとはしないこと、高音を出す際には膝を少しまげて十分に体重を足下に落とすことである。これらはいずれも上半身の不必要な筋肉の緊張を防ぎ、リラックスした状態で歌うことを促すために必要である。

次に二つめの指導法として、長机等の上にうつ伏せに寝た状態で、足を上げながら歌唱する方法を提案する。
首の筋肉が過剰に力みがちな人の特徴として、腹部や臀部の筋肉をはじめとする呼気を支える筋肉が正しく使われていない傾向がある。そのため、高音の発声や音の大きな跳躍の発声の際に声がうまく出ず、無理に首周辺の筋肉を緊張させて声を出そうとする。さらに、首周辺の筋肉は歌唱する本人にとってはコントロールしやすい筋肉であるため、特に初級者にとっては使わないように意識してもつい動かしてしまいがちな筋肉であり、また動かすことが癖になりやすい筋肉でもあるため、改善するのが比較的困難である。
 そこで、腹部や臀部の筋肉を強制的に機能させ、首周辺の筋肉を使用しなくてもよい状況を作ることがよいと考えられる。その具体的な方法は、長机など長さが100cm以上あり、表面が平らなものの上にうつ伏せの状態でのり、顎から上の部分だけを机から前に出す。足や膝は机にのっていても、のっていなくても構わない。その状態で足を上方向に持ち上げて歌唱する。高音の時や跳躍の時にはより高く足を上げるのが望ましい。この際、留意すべき点は、足をあげる高さは歌唱者にとって無理のない高さにすること、首は持ち上げたり曲げたりせず、少しうつむきかげんにすることの二点である。
※解答のポイント

  • 挙げられた指導法の実践可能性はあるか。
  • 指導法は具体的に示されているか。
  • 筋肉が過剰に緊張する原因あるいはその位置および状態について具体的に言及できているか。
  • 上記に対して、解答に書かれた指導法は合理性を持つものであるか。

【2013年9月の選択問題】

毎回、著名なアーティストに関する問題が出題されます。
2013年9月の資格試験では、以下の内容が出題されました。

選択問題
次の2問(問題AおよびB)からいずれか1問を選択し、それに対する解答を解答欄に記入せよ。
解答においては、まずどの問題を選択したのかを問題記号(A, Bのいずれか)を記入し、それから解答を記入すること。
問題A
日本の音楽バンド、Mr.children(ミスター・チルドレン)は日本において長年人気を得ているが、このバンドが今なお人気を保ち続けている理由にはどのようなことが考えられるか。ボーカルの桜井和寿の歌が持つ要素と聴衆(あるいは時代)の要求という観点から答えよ。
その際、Mr.childrenの音楽性、楽曲の構成、バンドの演奏、歌詞等、声以外の音楽的要素との関連性について指摘しても構わない。
問題B
歌手、Sarah Brightman(サラ・ブライトマン)はクロス・オーバーの歌手として有名であり、オペラ、ミュージカル、クラシック、ポピュラー、ロック、宗教音楽など、様々なジャンルの楽曲を歌いこなすことで知られている。サラ・ブライトマンがあらゆるジャンルの楽曲の歌唱を可能にし、クロス・オーバーの歌手として人気を得ている背景にはどのような理由が考えられるか。声の性質、発声法、歌唱法などを含む「歌声」と「選曲」との関連性という観点から答えよ。
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